平尾桂子の研究室

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大人目線の商品開発

理想のバッグを探している。

 

ペンさし、キーホルダーが付いていて、携帯電話や財布がスマートに取り出せて、化粧品など小物がすっきり収納できて、A4の書類が入り、なおかつそこそこにおしゃれなハンドバッグ。丈夫で軽くて安っぽくないもの。

 

大したことは望んでいないのに、「これぞ」というバッグになかなか出会えない。デパートではバッグが山ほど売られているのに「私の」バッグは一つもない。

 

男性用ならペンさしもキーホルダーも標準装備なのに「そこそこにオシャレ」というところがネックなのか。オシャレなバッグは書類が入らず、書類が入るバッグはかわいくない。

 

理想の靴も探している。

 

ガシガシ歩けてそこそこにおしゃれ。一日履いても疲れず、足にも腰にもやさしくて、足が「それなりに」きれいに見える靴。美しい靴は歩きにくく、歩きやすい靴はスーツに合わない。ニューヨークのビジネス・ウーマンはスニーカーで通勤していますと言われても、トーキョーで私が同じことをやると無惨にダサい。世の中には靴がわんさと売られているのに「私の」靴はどこにいるのか。

 

「女の色気とバッグの大きさは逆比例する」。あるファッションデザイナーが雑誌に書いていた。多分靴に関しても同じような言説が流通しているに違いない。「女の色気とヒールの高さは比例する」、と。大きなバッグは格好悪いからと、ノートを半分に折って持ち歩いている女子学生がいた。足に合わない靴を履き続け人知れず纏足した結果、外反母趾に悩む女性も少なくない。

 

世が女に求める色気や美しさとはなんと窮屈なものか。―そんなことを考えていたら、バービーが50歳になったというニュースが入ってきた。

 

1959年にマテル社が発売して以来、世界中の女の子の遊び相手をしてきた着せ替え人形のバービー。何度もモデルチェンジを繰り返し、流行に合わせて顔の作りもメークも目の色も変えてきたが、唯一変わらないのが彼女のプロポーション。身長170センチの人間に置き換えるとスリーサイズは99-58-84!だが、この「理想の体型」は医学的には非現実的で、あえて実現しようとすれば内蔵をいくつか取り出さなくてはいけないらしい。

 

ゴージャスな家と膨大なワードローブを所有する「美人」のプロトタイプのバービーも、内蔵を摘出した上に更年期のお年頃なら、きっと体がつらいに違いない。

 

そういえば、リカちゃんも42歳。いや、1967年の発売当時11歳だったから今年で53歳だ。みんな大人になっている。彼女たちが欲しがるような、体にやさしくて見た目と実用性を兼ねそろえたバッグと靴を開発すれば、大ヒット商品になるに違いない。

 

「悠+(はるかプラス)」2009年12月号 『砂場のダイヤモンド』

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平尾桂子 Keiko Hirao

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