平尾桂子の研究室

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精神疲労の特効薬

大事な会議があるのに体調が今ひとつ。明日から出張なのに風邪気味で熱っぽい。交通事故や大病といった人生が変わるような非常事態ではないけれど、不定期に私たちを襲うちょっとしたピンチ。そんなプチな危機を乗り越えたいとき、時々栄養ドリンク剤を飲む。ほどよい飲み心地と適度なクスリ臭さ、そっけない茶色のガラス瓶といった薬効成分的演出のおかげか、グイっと一本飲み干すと、不思議に元気が出る気がして、心の中で密かに叫ぶ。

「ファイト!」「一発!」

別に「リポビタンD」じゃなくてもいいのだけれど、パブロフの犬のようにこの台詞が心に浮かぶのは、やはり超ロングセラーのCM効果だろうか。

断崖絶壁のロッククライミング中に滑落しかけたり、千仭の谷にかかる吊り橋が切れたり、桟道が崩れたり、激流に流されたり。とにかく「これでもか」という危ない場面をパートナーに助けられ、あわやの危機を切り抜ける。最後に二人そろってグイっと一本。

マッチョで旬の男優ペア・野外アクション・男の友情物語の三拍子CMシリーズが始まったのが1977年だから、かれこれ30年以上も見てきたことになる。作品数も400を超えた。学生時代から接し続けてきたという意味では、もしかしたらドストエフスキーよりも影響が大きいかもしれない。

それにしても、雄大な自然の中で汗を流せるケイン・コスギがうらやましい。休暇は必ずアウトドア。さぞかしストレスフリーな生活だろう。山で遭難しかけて拾った命なら、あとはオマケの人生で、会議だの出張だのといった日常的な危機なんて小さなことだと達観して流せるかも。

そういえば「リポビタンD」、ドラッグストアには必ずあるのに、スポーツジムでは見かけたことがない。登山グッズの必需品なんて話も聞いたことないぞ。

心の疲れを癒すには、同じ程度にカラダを疲れさせるのが一番効果的だと誰かに聞いた。現代人に必要なのは、肉体疲労。まずはそれを心がけよう。

<大正製薬[リポビタンD]>

 
「悠+(はるかプラス)」2010年6月号 『15秒のスケッチ』

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平尾桂子 Keiko Hirao

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